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漢詩

白居易 の思想がよく表れている漢詩「中隱」【日本語訳・書き下し文・白文(現代中国語ピンイン付)】

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 中国・中唐の詩人である白居易(白楽天) 【 772年(大暦7年)- 846年(会昌6年)】は「中隠」を目指しました。

「中隠」とはどのような思想なのか

 ここで中隠というのは「大隠(街に住む隠者)」でもなく、「小隠(山など人気のない所に住む隠者)」でもない、閑職にある隠者のことです。

日本人の「隠者」のイメージ(西行など)からすると、なんだか中途半端な感じもしてしまいますが、唐代の科挙以降の現実的な中国思想と、白居易のバランス感覚をよく表していると思います。

【日本語訳】→【書き下し文】→【白文(現代中国語ピンイン付き)】と紹介していきます。

出典

日本語訳、書き下し文は佐久節訳註 『「続国訳漢文大成」白楽天全詩集 第三巻』
日本図書センター 昭和五三年六月三〇日 P.196〜P.198より
※ 佐久節氏は死後五〇年以上経過、パブリックドメイン

佐久節

1882−1961 明治-昭和時代の中国文学者。明治15年9月1日生まれ。大正8年一高教授となる。のち日本女子大教授。昭和36年1月22日死去。78歳。茨城県出身。東京帝大卒。著作に「唐詩選新釈」「漢詩大観」などがある。

「中隱」日本語訳

大隠は都会に住み小隠は林丘に住むが、林丘は物淋しく都会は諠噪である。

されば東都に分司として中隠生活を送るこそ最も宜しきに叶っている。

東都分司の官は出でて仕ふるがごとく退いて隠るるがごとく、忙しいという程でもなく閑散という程でもなく、心力を労することもなく飢寒の心配もなく、年中これという仕事もなく、それで毎月俸銭が頂ける。

だから仕官するなら東都分司になるがよい。

君もし登臨を好むならば洛城の南に山がある。

もしまた遊楽を好むならば洛城の東に林園がある。

春でも秋でも思う存分遊賞することができる。

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もし一酔を欲するならば出でて賓筵に赴くがよい。

洛陽は士君子の淵藪だから遊び相手はいくらでもある。

もし高臥を欲するならば門を閉じて閑居するがよい。

車馬の客の稹卒に闖入するようなことはない。

一体何でも両全を得ることのできないのが憂世で、卑賎なれば凍餒の苦みがあり、高貴なれば憂が多い。

ただ中隠の士だけは常に身の吉安を得て、窮通豊約四者の中間にいることができる。

※原文は旧仮名遣い・旧漢字ですが、新仮名遣いに改めました。

「中隱」白文 -現代中国語ピンイン付き-

大隱住朝市,小隱入丘樊。
Dà yǐn zhù cháo shì, xiǎo yǐn rù qiū fán.

丘樊太冷落,朝市太囂喧。
Qiū fán tài lěng luò, cháo shì tài xiāo xuān.

不如作中隱,隱在留司官。
Bù rú zuò zhōng yǐn, yǐn zài liú sī guān.

似出復似處,非忙亦非輭。
Shì chū fù shì chù, fēi máng yì fēi ruǎn.

不勞心與力,又免饑與寒。
Bù láo xīn yǔ lì, yòu miǎn jī yǔ hán.

終歲無公事,隨月有俸錢。
Zhōng suì wú gōng shì, suí yuè yǒu fèng qián.

君若好登臨,城南有秋山。
Jūn ruò hǎo dēng lín, chéng nán yǒu qiū shān.

君若愛遊蕩,城東有春園。
Jūn ruò ài yóu dàng, chéng dōng yǒu chūn yuán.

君若欲一醉,時出赴賓筵。
Jūn ruò yù yī zuì, shí chū fù bīn yán.

洛中多君子,可以恣歡言。
Luò zhōng duō jūn zǐ, kě yǐ zì huan yán.

君若欲高臥,但自深掩關。
Jūn ruò yù gāo wò, dàn zì shēn yǎn guān.

亦無車馬客,造次到門前。
Yì wú chē mǎ kè, zào cì dào mén qián.

人生處一世,其道難兩全。
Rén shēng chù yī shì, qí dào nán liǎng quán.

賤即苦凍餒,貴則多憂患。
Jiàn jí kǔ dòng něi, guì zé duō yōu huàn.

唯此中隱士,致身吉且安。
Wéi cǐ zhōng yǐn shì, zhì shēn jí qiě ān.

窮通與豐約,正在四者間。
Qióng tōng yǔ fēng yuē, zhèng zài sì zhě jiān.

※ 書き下し文も良いですが、中国語のピンインで読むとより深く味わえます。

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