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曼荼羅イコノロジー 2 「曼荼羅にこめられた思想とは」

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まだ大学生だった1999年に作ったホームページに載せていた稚拙な文章ですが、再掲載します。

金剛界、胎蔵界と二元的な存在として現象世界に現れてはいるが、本来は一つの融和したものなのです。

そこには「二つ」であって「二つ」でなく、「一つ」でありながら「二つ」であるという「不二」という思想が表れています。

両界曼荼羅が表す「不二」の世界

両界曼荼羅は二元の世界を説きながら、しかもそれらを止揚し総合的に統一した世界を提示してみせます。

この不二の思想においてはあらゆる二元的な対立、例えば善と悪、生と死、主体と客体などの対立を根本から滅します。  

ここに表したのは曼荼羅に対する一つの見方でしかありません。

曼荼羅は複雑な世界を象徴しており、見る人の観想によって様々な意味がくみ取れるものなのです。

心理学との関連性

心理学者のC.G.ユングは、曼荼羅に多用されている幾何学的な四部構成のモティーフから、人間の心の奥底に潜在する元型(Archetypes)に代表される普遍的無意識の象徴を見いだしました。

自我とは異なる、すべての人が人間として備えている共通の心理的構造が示されているというのです。

電脳との関連性

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また、システムエンジニアが曼荼羅を見ると、曼荼羅とコンピュータ・システムの相似性に驚くそうです。

中央の本尊が入れ替わることによって、他の周辺部の構造は変わらずに、本尊の影響で全体の役割が変化するのは、コンピューターのソフトウェアとハードウェアとの関係に酷似しています。LSIの構造も曼荼羅によく似ています。  

曼荼羅は1200年以上も昔に成立したものです。しかし、人智を越え、時代を超えたその結論は現代でもなおその意味を失ってはいません。

大日如来を中心として無数の仏菩薩、や神々、人間、あるいは悪鬼羅刹、餓鬼畜生に至るまで、あらゆる存在が描かれている曼荼羅は渾然一体とした、さながら宇宙の交響楽といったものが再現されています。

多元的な価値観を包摂する曼荼羅の構造

曼荼羅の中では万有一切のあらゆる存在がそれぞれに固有の役割を持って現れています。

それらはすべて、大日如来という世界を貫く真理の顕現であり、大日如来は一切の存在を包摂しながら超越しているところのものです。

曼荼羅の全体の体系的な構成、総体と個々の調和、発展的な多様の変化は見事なものです。

諸思想に認められる多元的な価値を統一する原理としていかなる論理構造を持った体系が考えられるか、それに答えているのが曼荼羅なのです。

空海の普遍的な総合主義は、正にこの曼荼羅の精神から帰結されたものといえるでしょう。

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