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映画『沈黙-サイレンス-』ネタバレ無し感想。日本人より見事に日本を描き切ったマーティン・スコセッシ監督

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 岡山のイオンシネマで映画『沈黙—サイレンス—』を見てきました。岡山の中心部には古くて小さい映画館しか無かったのですが、イオンモールが岡山に来て、やっと良い環境で映画を見ることが出来るようになりました。

 伊集院光も町山智浩もラジオで絶賛していたこの映画、平日の昼間見に行ったこともあって、空いていていい席で見れました。客層は60〜70台とみられるご高齢の方が多かったです。もしかしたらアラフォーの自分が最年少だったかも。

 公開中の映画なので、ネタバレを極力しないように書いてみたいと思います。

巨匠マーティン・スコセッシ監督、構想28年撮影7年

 この映画はハリウッドの巨匠と名高いマーティン・スコセッシが遠藤周作の小説『沈黙』を読んで感銘を受けて、構想28年撮影に7年もかけて撮影された超大作です。

 上映時間はなんと162分。予告編と合わせると3時間くらい座ったままでしたが、中だるみすること無く、終始圧倒され続けました。『沈黙』という題名ですが、無音の演出が多用され、かなり緊張感があります。とくにラストの緊迫のシーンでは隣の隣のオジサンの息を呑む音が聞こえたくらいです。

映画『サイレンス』画像 遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督

 音楽ももちろん綺麗でしたが、虫の鳴き声も効果的に使われて、静けさを際立たせていました。マーティン・スコセッシは日本人ではないのに芭蕉の「静けさや、、」の俳句の極意が分かっているのかなと思いました。

日本人が撮る時代劇映画よりリアル

 外国の監督が日本を舞台にしたり日本をテーマに映画を撮るとき、どうしてもチグハグなところが感じられてしまったり、あれっと思うことがありますが、この『沈黙』は全くそんなことはありません。

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 隠れキリシタンの村の貧しさ、奉行の立ち居振る舞いとかすべてが極めてリアル。これは日本を描くところだけではなく、マカオについても言えます。香港や中国の監督が撮るよりリアル感ありました。

俳優陣もすごい

 監督もすごいけれど、その監督が選んだ俳優たちもすごいです。まずキチジロー役の窪塚洋介。原作者である遠藤周作が自らを重ね合わせた、弱さを抱える人間を見事に演じています。

 そして井上筑後守のイッセー尾形がひたすら怖い。劇中では井上様と呼ばれている老人で、終始ニコニコした好々爺ですが、その笑顔のままとんでもなく酷い拷問をしたり、神父を論理的に追い詰めたり、影の主人公と言っても過言ではないです。日本人の現世主義、事なかれ主義の権化で、今の日本でもそこかしこにいそうです。

 他にも通訳役の浅野忠信、モキチ役の塚本晋也、モニカ役の小松菜奈も好演、主人公ロドリゴ役のアンドリュー・ガーフィールドのクライマックスの迫真の演技も涙なしには見られませんでした。

ロケ地は台湾

 この映画は台湾で六ヶ月もの長期間ロケを行い、台湾でもさんざんニュースとなっていました。巨匠の映画とあって、台湾政府も協力を惜しまず、エンドロールにはスペシャルサンクスで台北市とか台湾の政府機関が載ってました。

 台湾では2月17日から公開とのこと。台湾人のキリスト教に対するスタンスは日本人とは違うので、どう評価されるか分かりませんが、台湾ロケということもあり、ヒットは間違いないでしょう。

日本論としても見れる

 原作を読んだときも深く考えさせられましたが、映画を観た後も再度日本文化について考えてしまいました。

 ネタバレしないために深く書きませんが、井上役のイッセー尾形が放つ台詞の一つ一つがキリスト教以外のことにも、あてはまると思います。

遠藤周作の原作との違い

 原作を読んだのがもう7,8年前で、細かいところはあまり覚えていないのですが、けっこう違うように思いました。映画版の方が追加要素が多かったです。映画で独自シーンを入れた場合、得てして原作のほうが良かったと思いがちですが、マーティン・スコセッシ版もとても良かったです。

 やはり心理描写などは小説版のほうが深く描けていると思うので、また原作を読み返してみたいと思います。

他の作品がアマゾンプライム特典で無料で見放題

 マーティン・スコセッシの他の作品もいろいろ観てみたくなり、調べてみたら、かなり多くの作品がAmazonプライム会員なら無料で見放題になっていることがわかりました。

 特に有名で、以前から観たいと思っていた『タクシードライバー』も

 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』も

 『ヒューゴの不思議な発明』も見放題とは!

他にもたくさんあって、プライム会員なら無料で見放題です!

 台湾は今日から春節の長期休暇で一週間くらいどこも閑散としているので、ゆっくりマーティン・スコセッシ監督作品を観て過ごそうと思います。







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