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書評

蘭学者・緒方洪庵の翻訳における心構えとは。『福沢諭吉 - 快男子の生涯 (日経ビジネス人文庫)』より

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 中国語から日本語への翻訳の仕事の依頼が時々来ます。学術書や論文の翻訳などはいろいろ悩むことが多いです。

蘭学者・緒方洪庵の翻訳に対する考え方

 2012年に読んだ『福沢諭吉 - 快男子の生涯 (日経ビジネス人文庫)』という本本に緒方洪庵の翻訳に対する考え方が書いてあって共感しました。

 緒方洪庵はオランダ語の文法をよく知っていて、難文を翻訳することは最も得意とのことです。そしてそういう難文を翻訳する時は、原書を眼中に置かずに訳したとか。

緒方洪庵の持論

その緒方洪庵の持論というのは

「そもそも翻訳は原書を読み得ない人のためのもの。訳書の中に無用の難文字をつらね、一読、再読してなお意味の分からないものがあるが、原書にこだわり無理に漢字を用いるためです。極端なものは訳書と原書を対照しないと分からない。笑止というべきです。」 pp. 184-185

だったとのこと。

中国語から日本語への翻訳の場合

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 中国語から日本語への翻訳の場合、漢字でもなんとなく意味がわかってしまうのでそのままの用語を使いたくなってしまいます。

例えば「族群」とか。

これをそのまま使っている翻訳もありますが、それではやはり不親切。

ある翻訳では「エスニック・グループ」と、一度英語にしてカタカナ化したのを使っていますが、これの方がまだ分かりやすいです。「それぞれの民族のグループ」としたら一番意味が近いのでしょうが、長過ぎます。

翻訳はたいへんキツい仕事

 昔は翻訳家というのは、家で好きなときに仕事できるし、楽でいいなぁと憧れていたこともありますが、完全な翻訳というのは不可能で、悩んでも悩んでもキリがない大変な職業だということが分かったので、もうあまり積極的にはやりたくないです。

2011年頃は3.5万字の学術論文を延々と訳していて常に胃を壊していました。

 台湾の学術論文は、難しい言い回しを使えば使うほど良い論文というか、故事成語や古文的な表現満載で本当に訳しづらかったです。

友達の台湾人で中国文学科を卒業した人に、その難しい表現を簡単な中国語で説明してもらおうと思っても、その台湾人も意味を理解できないような難しい表現でした。

 そういうややこしい翻訳はできるだけしたくないですが、文学作品の翻訳ならしてみたいと思います。

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