明柳書房

漫画の考察や本の書評。台湾の写真なども載せています。

書評

人類の祖先の血液型は何型? Rh+のRhって何? 坂井建雄 『面白くて眠れなくなる人体』感想

投稿日:

 解剖学者の坂井建雄《たつお》が書いた 『面白くて眠れなくなる人体』を読みました。

私は高校生の頃までは理系で、大学では生物学を勉強したかったのですが、数学ができずに文転。その後、生物関係の本はあまり読まなくなっていたので、最新の研究や学説も紹介しているこの本は新鮮な驚きがたくさんありました。

最近台湾でも流行っている血液型の話題。特に日本語学科では話題に登ることが多いです。

そもそも血液型はどうしてABOで分けられているのかそれは血液の中にある抗体が関係しているとのこと。昔習ったような気もしますがすっかり忘れていました。

輸血とO型

 O型は一番シンプルな血液型で、他のA、B、ABどの血液型にも輸血できるとの俗説が有りますが、大量に輸血すると血液が固まる「凝血」や赤血球が壊れる「溶血」が起こったりしてしまうそうです。

ただし、この本によると、輸血が少量の場合は血液が希釈されて濃度が薄まるため、大丈夫とのこと。そのため現在では「緊急時のみ」はO型を異なる血液型に輸血できるそうです。

原則的に他の血液型には輸血をしない決まりとはいうものの、命が関わっている時はそんなこと言っている場合ではないということですね。

RHプラスとマイナス

血液型というと、ABOの他にRHプラスとかマイナスという分け方もあります。そういう区別があることは知っていましたが、この本を読んで初めて由来がわかりました。

「Rh式は、ヒトの赤血球に含まれるアカゲザル(Rhesus Monkey)と共通の血液型抗原の有無によって分ける血液型」とのこと。RHというのはアカゲザルのRhesumの前二文字Rhが由来なんですね。

そして、プラスとマイナスというのは 「Rh抗原」には、C・c、D・d、E・eの六種類があって、中でもD抗原は輸血に作用しやすいことから、D抗原を持っている人は「Rhプラス」、持っていない人は「Rhマイナス」としているそうです。

日本人のほとんどがRh+

 日本人の場合、99.5パーセントの人がRhプラスで、Rhマイナスは0.5パーセントしかいないそうです。0.5%というと相当少ないですが、日本人は人口減少傾向といえども1億人以上いるので総数としてはかなり多いです。

以上のABO式とRhという分け方の他にも人間の血液型は、実は数十種類もの区分があるそうです。もし血液型で性格が決まるというなら、数十種類あるという区別すべてについて考えなければならないはずで、ABOだけで決めるというのはやはり科学的ではないですね。じゃあなぜABOとRhだけが有名なのかというと輸血のときに重要となるのはABO式とRh式だから。

輸血の前にかならずすること

 ただ、実際の医療の現場では、ABOとRhが一致しているからといって、すぐに輸血したりはしないとのこと。必ず輸血を受ける人の血液と、輸血する血液を混ぜ合わせ、凝集反応が起こらないことを確認したうえで輸血を行っているそうです。

人間の祖先の血液型はシンプルなA型か?

スポンサーリンク

 先にも書いたように血液型の基本形がO型で、一番シンプルな構造をしているので、以前は人類の祖先の血液型は「O型」だとされていました。私もそういう説が妥当だと思っていました。

 しかし、「DNAを分析した結果、A型が人類の祖先だという説が有力」とのこと。

なぜこういう説が出たかというと「チンパンジーの血液型はA型とO型、ゴリラはB型のみ、オランウータンではA、B、O、AB型。DNAの研究により、ヒト、類人猿、サルの共通祖先は『A型』だったことが明らか」になったから。

だから現在では人間の場合はA型の祖先からO型が誕生し、次にB型、そして最後にA型とB型の混血として「AB型」が誕生したとされているそうです。

日本人で一番多い血液型はA型、台湾で一番多い血液型はO型。ということは日本人のほうがより人間の祖先に近いとのことでしょうか。しかし、最近の人類の移動の説によると、日本列島に渡ってきたグループのうち、台湾を通ってきた人たちもかなりいただろうとも言われています。

この本には血液型の他にも、最近の研究や発見をふまえた面白い人体の話が盛り沢山で、文章も上手いため、題名にある通り眠れなくなるほどグイグイ読ませます。

(※ Kindleで買えばポイントが付いたりしてお得です。またKindle Unlimitedに登録している人は今なら無料で読むことができます。)

坂井建雄氏は解剖学者。解剖学者といえば養老孟司氏が有名ですが、養老孟司も文章が滅法面白いです。解剖学者には文章が上手い人が多いのかなと思いましたが、2人だけではちょっと心もとないです。

ふと台湾の台北帝国大学(現台湾大学)の教授だった日本人・金関丈夫も解剖学者だということを思い出しました。金関丈夫は本業の他に小説やエッセイを書いたり人類学の研究をしていて、そちらでもかなりの業績です。やはり解剖学者は文章が上手いのかも。







-書評
-, ,

Copyright© 明柳書房 , 2017 All Rights Reserved.