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シンギュラリティにより人間は死を克服し、宇宙に偏在するようになるらしい

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『シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件』(幻冬舎新書)をkindleで読みました。

前回の記事ではシンギュラリティによって訪れる「エクスポネンシャル(指数関数的成長)」と「収穫加速の法則」を紹介しました。

iPadを持つ女性の写真
シンギュラリティによって訪れる「エクスポネンシャル(指数関数的成長)」と「収穫加速の法則」

『シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件』(幻冬舎新書)をKindleで読みました。 いろいろ「シンギュラリティ」とか「人工知能」についての本を読んできましたが、この本がいちばん ...

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今回はシンギュラリティの前に訪れる3つの革命を紹介します。

G・N・R 革命

カーツワイルはシンギュラリティの前に、3つの技術的な革命が起こると予測しています。それは

  • ジェネティクス革命(遺伝学:Genetics)
  • ナノテクノロジー革命(Nanotechnology)
  • ロボティクス革命(ロボット工学:Robotics)

の三つで、それぞれの頭文字をとって「G・N・R」革命と称されています。

それぞれちょっと詳しく見てみましょう。

ジェネティクス革命(遺伝学:Genetics)

遺伝子工学がさらに高度になることにより、人間自体をプログラミングできるようになるそうです。

今も遺伝子治療などが行われていますが、それがもっと広範な分野で使われ、iPS細胞などにより再生医療も発達すれば、人間の肉体自体をアップデートできる日も近いかもしれません。

カーツワイルは『ポスト・ヒューマン誕生』で

われわれは生命の基盤となっている情報プロセスを理解して人類の生命活動プログラムを作り直し、事実上全ての病を撲滅し、人間の可能性を飛躍的に広げ、寿命を劇的に伸ばそうとしているのだ。

と言っています。

すべての病の撲滅、人類の夢ですが、そう簡単に行くのでしょうか。

もしガンやHIVなどの、現在不治の病と言われているものが治るようになったとしても、新たな病や問題が噴出してきそうです。

コンピュータが更に小さくなり、体中を走りまわり、身体のおかしなところを治すナノマシンが実現したとしても、そのナノマシン自体が新たな問題を醸し出すかもしれません。

ナノテクノロジー革命(Nanotechnology)

ナノテクノロジーが更に発展すれば、分子や原子的スケールで物質を扱うことができるようになると考えられます。

原子レベルでモノを作ることができる3Dプリンターのようなものが実現すれば、原子構造を構築し、どんな元素でも作り出せるようになるのでしょうか。

そうなると金やダイヤモンドまでも作れるようになり、金貨や宝飾類の価値が大暴落しそうです。

もっともそのころにはビットコインのようなブロックチェーンの仮想通貨が世界の主流となり、貨幣というものの観念がいまと全然違うと思われますが。

ロボティクス革命(ロボット工学:Robotics)

カーツワイルは「ロボティクス:Robotics」を、いわゆる「強いAI」(AIで自己意識など人間の脳がもつ心的機能が全て実現できるという考え方)とほぼ同義だと考えています。

今のロボット(AI)は囲碁や将棋を人間よりも上手にプレイすることはできますが、意識や心を持っていません。

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そもそも今のAIは人間に指示されたことしかできず、自ら問題設定をしてそれを解決するということは全く出来ないのです。

前回の記事で書いたように、人間よりはるかに高度なコンピュータが高密度に配置されるか、量子コンピュータなどの新しい方式の計算機が、どこかの時点で意識を持つことはありそうです。

SF小説の金字塔『月は無慈悲な夜の女王』でハインラインが描いたような万能のコンピュータができると思うと、その時までぜひ生きていたいと思います。

その頃には、機器的な技術も格段に上がっているでしょうから、外装をもったAI、つまり「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のようなロボットも実現できるでしょう。

シンギュラリティ後の人類はどうなる?

カーツワイルによると、こうして3つの革命を経て、シンギュラリティを迎えた後、人間は死や老化を克服し、機械と融合すると予測します。

「機械の体」を手に入れる人類

人間の体はどうがんばっても120年くらいしかもたなそうですが、少しずつ機械に置き換えて行けば、その限界も超えられるかもしれません。

しかし、全身が機械に置き換えられたら、もはや人間とは別の存在ともいえます。

松本零士が『銀河鉄道999』で描いたように、身体的感覚を失ったら、心の定義も変わってくるでしょう。

ホリエモンは自分が生きているうちに死は克服されて、自分は死なないのではないかと言っていましたが、あながち荒唐無稽な夢物語ではないのかもしれません。

宇宙全体に広がる人類

そして、カーツワイルによると、死を克服した人類により最後には宇宙全体が知性を持つと言っています。

宇宙全体が生命となる、となると壮大なSF小説みたいな話となり、いささか現実味がなくなってしまいますが、いずれ人間は機械の身体をも必要としなくなり、純粋な情報生命体になるということでしょうか。

カート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』がそんな物語だったような、『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門がそんな宇宙人の何かだったような淡い記憶があります。

レイ・カーツワイルがこの考え方を示したのは2005年。『The Singularity Is Near』(邦題:シンギュラリティは近い)という本で示されました。

原著も邦訳されていますが、超難解です。最近エッセンシャル版がでて、身近になりました。

2005年にこの話を聞けば、SFとしか思えなかったでしょうが、ここ数年の技術的革新を見ていると、荒唐無稽と思えないところがあります。

バックラッシュが巻き起こる可能性

ただ技術はこのまま「エクスポネンシャル」に革新されていくとしても、アメリカのトランプ現象やイギリスのブレグジットとか、イスラム教徒のISなどの現象を見ていると、技術の進歩を望まず、時代を巻き戻すような運動が激しくなるとも思います。

今後起こりうる問題点もふくめて、色々考えさせられたこの本、これからのビジネスだけではなく社会全体の動きを知るためにもオススメです。

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