こんにちは! 月に50冊以上マンガを読むコウテツユウギです。
西尾維新の『化物語』、大暮維人作画の漫画で新連載が始まって第2回目。
第2話は『週刊少年マガジン』2018年16号(3月21日発売)に掲載されています。
前回の第1話で戦場ヶ原ひたぎは「蟹の怪異に体重のほとんど 正確には10分の1を奪われた」事実が阿良々木暦にバレ、もう少しで戦争になるところでした。
第1話のネタバレ考察はこちらを見てください。
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『化物語』考察 1話「ひたぎクラブ」感想 大暮維人の作画が意外と合ってる
西尾維新の『化物語』が大暮維人作画の漫画で新連載が始まりました! 記念すべき第1話は『週刊少年マガジン』2018年15号 ...
同じく怪異(吸血鬼)に襲われて、助かった阿良々木暦は自分の恩人である忍野メメのところに連れて行きます。
途中の路上で空き缶を避けて通る戦場ヶ原を見て、「戦場ヶ原にとっては周囲のすべてが10倍の質量」だから「空き缶がコンクリブロック」並みの質量であることを実感する描写がありますが、原作の小説では伝わりづらい描写も漫画だとわかりやすいです。
アララギくんは前回の戦場ヶ原の過剰反応やむき出しの敵意にも理解を示します。
大暮維人が描く「忍野メメ」はどんなキャラか?
学習塾の廃墟跡で忍野メメが初登場。
アララギくんと同じで、かなりイケメン化している感じです。原作やアニメ版だともっと「やさぐれてる感」が出てますが。
最初は丁寧な戦場ヶ原ひたぎさん
ここで扉絵、「ゴスロリ風」の戦場ヶ原ひたぎが新鮮です。
ここで時間がかなり飛んで、戦場ヶ原ひたぎの家「民倉荘」に移ります。
戦場ヶ原の母親が怪しい宗教にはまって、財産をすべて貢いだどころじゃすまなくて、多額の借金まで背負ってしまったというハードな事実が明らかとなります。
それが原因で去年の暮れに戦場ヶ原の両親は離婚し、今は父と二人で暮らしていて、父も借金返済のため滅多に帰ってこないということが明かされます。
また場面は忍野メメのところに戻り、怪異の説明が始まります。
戦場ヶ原に憑いたのは「おもし蟹」で宮崎の山間部あたりの民間伝承だそうです。
地域によっては「重し蟹」「重いし蟹」「重石蟹」とも呼ばれて、共通しているのは「人から重さを奪う」というところ。
宮崎とか地域とか場所は「カンケーない」とのこと。
忍野メメによれば、怪異というのは「そういう『場』ができれば そこに生じる」ものです。
戦場ヶ原が「助けると聞いたけど」と尋ねると、忍野メメは「それは無理」と答えます。
そして「君が勝手に一人で助かるだけさ」と原作でもおなじみのセリフ。
怪異は「どこにでもいる」といえるし「どこにもいない」ともいえて、人間の「視点、心の在りよう」によってそれが切り替わると続けます。
それを聞いて「禅問答」のようだと警戒する戦場ヶ原。
忍野メメは「何かのせいでそうなったんじゃない」と言い
「被害者ヅラが気に喰わねェつってんだよ!!!」
と突然激昂します。
戦場ヶ原は同じようなセリフを詐欺師5人が言って、全員血反吐を吐いたと返します。
忍野メメは「帰りなさい」と言い、戦場ヶ原は帰ろうとしますが、忍野メメは帰ったら冷水で体を清めて清潔な服に着替えてから、夜0時にまた来るよう続けます。
そしてここで忍野忍(旧キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード)が初登場です。
アララギくんを翻弄する戦場ヶ原ひたぎ
場面は戦場ヶ原の家に戻り、シャワーから現れる戦場ヶ原ひたぎに愕然とする阿良々木暦。
ひたぎの過激さと爆発力は原作以上で、アララギくんは感想を言えと迫られて、言うと「最低」となじられてしまいます。
忍野忍のことはまだ信用していないという戦場ヶ原ひたぎ
- たまたま階段で足を滑らして
- たまたまそれを受け止めた人がたまたま春休みに吸血鬼に襲われたクラスメイトで
- たまたまそのクラスの委員長も怪異に関わりがあって
- そのたまたまのつながりで
- たまたま元学習塾の廃墟に住み着くホームレスのようなオジサンに救われる
そんな偶然を信じられるほど私は楽天家じゃないとつぶやきます。
自転車で学習塾跡に向かう阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎ
アララギくんは戦場ヶ原の母が宗教にハマったのは戦場ヶ原のためじゃないのかという質問をすると、戦場ヶ原は
「さぁね。 違うかも。」
と答えます。
正装した忍野メメが行う儀式とは?
学習塾跡では神官の姿をした忍野メメが待っていました。
さっきのズボラな中年姿とは全然違う姿に唖然とするアララギくん。
改まった忍野メメはこれから行うことは怪異の退治ではないといいます。
怪異はただそこにいるだけでそこにいるのが「あたりまえ」の存在だからこちら側から触れない限り何もしない、存在しないのと同じとのこと。
つまりこの怪異は「戦場ヶ原の方から触りに行った」のだからこれからすることは「謙虚に慎み深く下手に出てお願いする」ことでしかなく、ここはそのための「場」で結界のようなものと言います。
そして、怪異は結構いい加減な連中で群体としての人間全体ならともかく個々人のことは本当にどうでもいいと思っていて、人間を個体としての区別はしていないと言います。
戦場ヶ原は結界に入る前に「もし全部上手くいったら北海道に蟹を食べに行きましょう」とアララギくんに言います。
「なんで」と疑問をはさむ阿良々木暦に対して、「蟹はとても美味しいのよ」と返す戦場ヶ原ひたぎ。
結界の中で酒のようなものを飲み、催眠術のようなものをかけ、だんだんとトランス状態になる戦場ヶ原ひたぎ。
それにあわせて忍野忍(旧キスショット)に血を吸わせて、吸血鬼の力をUPするアララギくん
ここで戦場ヶ原の回想に入り
- たまたま階段で足を滑らせて
- たまたまそれを受け止めた人が春休みに吸血鬼になったおせっかいなクラスメイトで
- その人はその恩人で
- たまたま私はその人に助けてもらおうとしている
- たまたまそのクラスの絶対正義委員長もその人を信用していて
そんなたまたまは「偶然」とは言わないと思うの 「運命の出逢い」って言うんだと思う。
それなら、信じてみる価値はあるかもしれないじゃない。
と言ったことが明かされます。ちょっと前に「偶然」は信じないという言葉がありましたが、こういう真意があったんですね。
そして、
だからあの人を信じるのではなくて
あの人を信じてるあなたの思いを信じてみようと思うのよ
と続けます。
戦場ヶ原ひたぎの心に宿る後悔と懊悩とは?
忍野メメは「一番好きな小説家」と尋ねて、戦場ヶ原は「夢野久作」と答えたり、こういうやりとりが続きます。
忍野メメは戦場ヶ原に「一番辛かった思い出」を聞くと、ここで戦場ヶ原は急に言葉に詰まります。
つまり、戦場ヶ原の問題はここに集約されるということですね。
戦場ヶ原は「母が悪い宗教にハマったこと」と絞り出しますが、忍野メメは「それだけか?」と言い、「そんなものは大したことじゃない」と一刀両断します。
つっこまれた戦場ヶ原は母が悪徳宗教にだまされ、その宗教団体の幹部が来て「浄化 儀式」と言って戦場ヶ原を襲おうとした思い出を語ります。
戦場ヶ原はスパイクで応戦して追い返したものの、母が助けてくれなかったことにショックを受けます。
さらに、母は娘の戦場ヶ原をなじって、殴りました。
この事件で戦場ヶ原の母は幹部にケガをさせたことでペナルティを負い、財産も家も土地も売り払い、借金までして御布施したとのこと。
このせいで戦場ヶ原の家族は壊れてしまいました。
こんな事件が起こって、家族が完全に壊れたのに母がまだ懲りもせず恥ずかしげもなく信仰を続けているのが戦場ヶ原ひたぎは許せなかったんですね。
ここで戦場ヶ原の前にはは「大きな蟹」が出現しますが、忍野メメやアララギくんには見えないようです。
ここで怪異と思われていたカニが実は
と神様のような存在だったことが明かされます。
戦場ヶ原の心にわだかまった「思い」というのは
もしあの時自分が幹部に抵抗しなければ、家族は壊れなかったんじゃないかというものでした。
忍野メメは「どんなに重かろうがそれは君が背負わなきゃいけないものだ」といい、「他人任せにしちゃいけない」と一見冷たいことを言います。
そして、戦場ヶ原まで壊れてしまわないように君の重し(思し)をずっと支えていてくれた「お人好しの神様」にお礼を言うように言い、戦場ヶ原の涙がカニの折り紙に落ちます。
なぜか吹っ飛ばされる戦場ヶ原。
吸血鬼に近づいた身体能力でとっさに助けに入る阿良々木暦。
壁にたたきつけられる二人。
といったところで新連載第2話は終わります。
今回も原作やアニメにも無い漫画独自のセリフもありました。
吹っ飛ばされた戦場ヶ原とアララギくんはどうなってしまったのか、次回3話のネタバレ考察はこちらを見てください。 西尾維新の『化物語』、大暮維人作画の漫画で新連載が始まって第3回目。 第3話は『週刊少年マガジン』2018年17号(3月 ...
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