奥浩哉による漫画『いぬやしき』最終巻である第10巻を読みました。以下、大まかなプロットのネタバレありの感想と考察になるので、未読の方はご注意ください。
『いぬやしき』は講談社の雑誌『イブニング』で、2014年4号から2017年16号まで連載されていた漫画で、すでにアニメ化されていて実写化も決まっている人気作です。
『いぬやしき』は宇宙人の事故に巻き込まれて、超兵器を満載された機械の身体に変えられてしまった冴えない老人・犬屋敷壱郎が主人公のSF漫画です。
同じように超兵器に改造された高校生・獅子神皓がその力を使って日本を大混乱に陥れますが、老人・犬屋敷壱郎は獅子神と戦い抵抗するというのがメインのプロットです。
全10巻・85話完結という比較的短い作品ですが、『GANTZ』にまさるともおとらない不思議な兵器の描写や、単純に悪とは片付けられない敵役・獅子神の苦悩や彼によって救済される人々など、終盤まではかなり盛り上がります。
最後はなぜか『アルマゲドン』
この二人の対決が終わったと思ったら、事態は急にアメリカ映画のようになり、どこかで見たような結末を迎えます。
終盤までは次に何が起こるか分からない面白さがありましたが、最後で一気にハリウッド的になってしまいちょっと残念です。
王道といえば王道だし、犬の花子には最後に泣かされてしまったし、面白かったには違いないのですが。
アニメとか実写では同じラストになるのか、ちょっと気になるし、予告編を見ると漫画原作の雰囲気をよく再現していて、面白そうです。
『いぬやしき』アニメ予告編
実写化の主演は「とんねるず」の木梨憲武だそうですね。無理があるんじゃ、と思いましたが、写真を見ると思った以上にピッタリはまっていました。
『GANTZ』との比較
今の人類にとってオーバーテクノロジーな兵器とか、容赦ない残酷描写とか、リアルかつ疾走感あふれるアクションとかは『GANTZ』と似ています。
そして最後まで宇宙人がなぜ地球に来たかとか、物語の背景が全然分からないのも『GANTZ』と同様です。『いぬやしき』も『GANTZ』もそこが最も気になるところですが、そこは各自で想像して補完してほしいということでしょうか。
どちらも面白かったですが、冴えない老人が活躍する『いぬやしき』のほうが好きです。