ハンターハンター

『ハンターハンター』341話「厄災」考察1 暗黒大陸とV5(近代5大陸)とカキンの関係は?

こんにちは! 月に50冊以上マンガを読むコウテツユウギです。

『ハンターハンター 第33巻』の冒頭、第341話「厄災《やくさい》」の前半のネタバレありの考察記事です。

暗黒大陸編が開始した前回の340話「特命」のネタバレ考察はこちらを見てください。

以下ネタバレありの考察なので、未読の方はご注意ください。

暗黒大陸の得体のしれなさ、空恐ろしさが次第に明かされます。休載中にみっちり練られたであろう設定と魅せ方はさすが冨樫義博。

全大陸の「特別渡航課(トッコー)」を束ねる特務課

暗黒大陸編の概要が次第に明らかになる第341話ですが、舞台は近代的なビルから始まります。

官僚風の男二人の会話からはじまりますが、全大陸の「特別渡航課(トッコー)」を束ねる特務課という機関のようです。

ここで言う全大陸というのはV5(近代5大陸)のことでしょう。各大陸は利害の対立はありつつも、表面上はこういうお役所をつくり、暗黒大陸へと食指を伸ばそうという国を牽制しています。

「特別渡航課(トッコー)」の特務課といっても、実際の仕事は「誰も新世界へ行かせない。やむを得ない場合は首輪をつける」こと。

ハンターハンター33巻、341話、8ページ。特務課の職員2人
引用:『ハンターハンター 33巻』p.9

なぜそんなことをしているかというと、どこかの国の抜け駆けを許さないためと、後に述べる暗黒大陸の厄災によって、人類が滅びないようにするためです。

この官僚風の男たちですが、若いインテリメガネのほうは何気に今後、女子人気が高くなるかもしれません。上司の方も良い枯れ具合で、凸凹コンビとして活躍しそう。

カキン王国が国際ルール無視し、暗黒大陸をめざす

そんな「特別渡航課(トッコー)」の特務課を悩ませるのが、カキン王国です。トッコーの審査を無視した上、大量の人間を暗黒大陸へ送り込む計画をぶち上げました。

カキン王国の目的は「調査(サイトーション)ではなく植民(ビジネス)」。自国の利益を最大化しようとするV5(近代5大陸)は黙っていることはできず、首脳会議を開くことにします。

この首脳会議で交渉がまとまらないとカキン王国が単独で暴走してしまうため、この官僚風の二人の男は準備しているようです。

現実の世界と同じで、V5(近代5大陸)が設立した「特別渡航課(トッコー)」という役所も、渡航禁止という決まりのも、それぞれの大陸で覇権を握っている大国が自ら作り出したものにすぎません。

本来、カキン王国がリスクを承知で暗黒大陸をフロンティアとみなして乗り出すのを遮る言われはないはずです。

しかし、暗黒大陸には既知の大陸ではありえない厄災《パンドラ》があり、官僚風の男いわく「新世界の門番は無礼な輩を最も嫌う」とのこと。

カキン王国のように大掛かりかつ杜撰な計画で暗黒大陸へ挑むと、手痛いしっぺ返しでは済まなくなるのです。

人類が暗黒大陸から持ち帰った現在進行形の「厄災」

この二人の男性はエレベーターで建物の地下深くへ降りていきます。エレベーターの表示は地下5階となっており、生体認証(指紋認証?)で厳重に隔離された区画へ入ると、

ハンターハンター33巻、341話、10-11ページ。地下室。厄災の被害者と防護服
引用:『ハンターハンター 33巻』pp.10-11

ボロ雑巾のようになった人間のようなものと、防護服を来た作業員が複数います。この官僚風の男たちはマスクも付けていない丸腰ですが、大丈夫なのでしょうか。

「縄状に捻り殺されている人間」は数百年前に発行された狂人の妄想で空想小説・幻書と思われていた奇書『新世界紀行』という旅行記に描かれていたものと同じ現象のようです。

アルカの「おねだり」で殺された人間?

かなり前の話でいますぐ確認できないのですが、この「縄状に捻り殺されている人間」はキルアの弟(妹?)であるアルカに「おねがい」をして、その後「おねだり」に答えられずに死んでしまった人間の遺体だと思われます。

不死の病「ゾバエ病」 暗黒大陸へ挑んだハンターの成れの果て

アルカにボロ雑巾のようにされた人間に驚いていると、今度は生きている人間がこの施設に収容されています。

ハンターハンター33巻、341話、14ページ。地下室。不死の病、ゾバエ病患者
引用:『ハンターハンター 33巻』p.14

上司の説明によると、50年間「人としての食事」を一切しないのに死なないとか。光合成のような仕組みなのかわかりませんが、「自給自足」という説明があるし、後に自分の腕を噛んでいる描写があるので自分で自分を捕食しているのかもしれません。

この人間は暗黒大陸でゾバエ病という病にかかって、このような状態になったとのこと。もともとはハンターだったとのことで、暗黒大陸へ派遣されるならかなり優秀だったはずですが、その影もありません。

上司は「もはや人間ではない」といっているし、「ふしゅー、ふしゅー」と声にならない声を出しているだけなので、もう自我も無いのかもしれません。

この死ねない病「ゾバエ病」は何らかの方法で感染する可能性があるためか、地下施設の中でもさらに厳重に隔離されています。

このゾバエ病は「ビヨンドレポート」に詳しく記述されているとのことです。ビヨンド=ネテロはネテロ元会長(アイザック=ネテロ)の息子で、かつて暗黒大陸へ挑みましたが失敗。その時にゾバエ病がもたらされてしまったのでしょう。

ということはビヨンド=ネテロは50年前に暗黒大陸へ挑んだことになります。ビヨンドは多く見積もっても40歳位の外見に見えますが。。

父親のネテロ元会長(アイザック=ネテロ)が100歳を越えているという説もあるので、ビヨンドが相応の歳というのは分かります。

官僚風の男の説明によると人類は新大陸に挑戦するたびに人類滅亡級の厄災を抱えて敗走しつづけているとのこと。先程のV5(近代5大陸)が設立した「特別渡航課(トッコー)」の話では、人類は暗黒大陸へ行くのはご法度という決まりがあったはずですが、やはりどの国も抜け駆けしていました。

ここもやはり現実世界と同じですね。覇権国家は自分でルールを作っておき、ルールを守らない国は罰するくせに自分は抜け駆けするという。

暗黒大陸を植民化しようとしたあげく厄災をもたらし、人類を滅亡させかけたのに、なぜまたビヨンドとカキン王国は暗黒大陸を目指すのか、それに対し新生ハンター協会はどう対応するのか。続きはまた後半に書きます。

この話を収録している『ハンターハンター 33巻』

今回の記事で書いた第341話から第350話までを収録している33巻。

『こち亀』以上にテキスト量が多く、読むたびに発見があります。

待望の最新刊『ハンターハンター 34巻』

暗黒大陸編と伝説のヒソカ VS 幻影旅団・クロロ団長の激闘を収録する34巻がもうすぐ発売されます。

2017年6月22日やっと表紙が明らかになりましたが、やはり天空闘技場でのヒソカ対クロロのバトルがメインとなるため、この二人が表紙になりました。巻全体のタイトルは「死闘」。確かにネテロ元会長とキメラアントの王・メルエムのバトルに勝るとも劣らない死闘でした。

34巻収録分のジャンプ連載時のまとめはこちら。

33巻も濃くてもう5度くらい読みましたが、34巻も何度も繰り返し読んでしまいそうです。

341話「厄災」の中盤のおさらいはこちら

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ささっと復習するつもりが、思い入れがありすぎるのと、内容が濃すぎるのでずいぶん時間がかかってしまいました。

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