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キングダム 592-593 考察 感想 松左は中間管理職の鏡 飛信隊は趙峩龍を倒せるか?レビュー【最新話】

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2019年3月7日(木)発売の『週刊ヤングジャンプ 14号』(電子版)を買って、原泰久『キングダム』592話「死に場所」を読みました。

以下ネタバレありの考察と感想(レビュー)なので、未読の方はご注意ください。

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秦軍右翼の総大将を任された信。

飛信隊の軍師・河了貂《かりょうてん》は防御無視のノーガード戦法で趙峩龍《ぎょうがりゅう》の軍を抜いていきます。

河了貂は趙峩龍の眼力を見抜き、飛信隊の強さを過小評価させることで、油断させることに成功しました。

趙峩龍が悠長に構えている間に飛信隊の戦陣は、ついに趙峩龍の本陣に届きそうになります。

渕副長と松左は苦しい役割を完遂できるのか?

河了貂は

  • 渕 副長
  • 松左 副歩兵長

に、助けられる部隊だけ助けて、あとは「見捨てる」という飛信隊にとって一番辛い役割を与えました。

渕副長も松左も、その「トリアージ」的な作業を、黙々と行っていました。

しかし591話では松左が、新人たちが殺されそうになっているところを見てしまい、いてもたってもいられなくなり、助けに行ってしまいました。

前回の考察では、この松左の行動が凶と出てしまうのではないかと思いましたが、この592話のタイトル「死に場所」から鑑みると、それが的中してしまったようです。

渕副長の懸念、松左と連携して守るはずの中間の陣が危ない

渕副長は救護を続けながらも、戦場の様子を俯瞰して、冷静に分析しています。

渕副長によると

  1. 信を先頭に騎馬隊は奥に攻め入っている
  2. 崇原の歩兵隊も続けて攻めている
  3. 飛信隊は中間がガラ空きになり危険

という、かなり危ない状況です。

飛信隊の先陣が、趙峩龍の本陣に届いたとしても、中間が崩壊してしまえば信たちは挟撃されてしまい、全滅してしまうでしょう。

渕副長は中間を壊走させないために、松左と合流し、対策を取ろうとします。

しかし、松左は安丁《あんてい》や干斗《かんと》ら新人を助けに行ってしまったことを知り、愕然とします。

干斗たち新人は趙峩龍の精鋭の包囲から逃れられるか?

干斗たち飛信隊の新人は、趙峩龍の精鋭に囲まれて次々と撃破されていきます。

干斗たちはまだ実戦経験も少ない上、装備も貧弱で、趙峩龍の兵との戦力差は一目瞭然です。

新人達の鎧はあっさりと趙峩龍隊の槍に貫かれ、干斗にも危機が迫ったその時、

危機一髪で松左が助けに入ります。

松左は三連撃の槍であっさり干斗を救い出します。玉鳳隊隊長・王賁《おうほん》の龍巣にも匹敵する槍の使い手です。

しかし、一度は松左が見捨てる決断を仕掛けたように、干斗たちの周りは敵だらけです。

さすがに多勢に無勢。

さらに趙・三大天の「盾」とも称される趙峩龍の「隔砂陣《かくさじん》」は松左達を簡単には逃がしてくれませんでした。

松左の命を懸けた教え「中間管理職」としての役割とは?

松左は背後から思いきり刺されてしまいますが、刺されても何事もなかったのように立ち上がります。

自分が痛みで取り乱し、感情をあらわにすれば新人達が動揺することを見越していたのでしょう。

干斗たちは松左を逃がそうとしますが、松左はそんな新兵達を一喝します。

松左は

  1. 新人が足手まといになるのは当然
  2. 新人達も松左自身と同じく、信の景色を見たい気持ちは変わらないこと
  3. 先輩のために、軽々と犠牲になるなど言うな

と諭します。

もうすぐ、新社会人が会社勤めを始めるころですが、こんなに良い上司がいる職場であることを切に願います。

私が昔勤めていた企業の先輩は、新人をいびり倒して、捨て駒にすることをいとわない人でした。

社長は老人だけど信みたいに熱い志を持っていたけど、松左のような管理職はいなかったです。

カイジのスピンオフ漫画『中間管理職トネガワ』でも、中間管理職がフィーチャーされ、かなり読まれていますが、現実にはこんなに良い管理職がいないからこそフィクションで描かれるのかもしれません。

トネガワのつとめる「帝愛」は完全なブラック企業で、軍隊にも似ています。それでも黒服達がやめないのは、やはりトネガワの人間的魅力があるからというのが8巻にも描かれていました。

自分が管理職的立場となり、人に教える立場となったとき、松左やトネガワのように新人を思いやれるような人物になりたいものです。

松左が選んだ死に場所、残された者たち

松左は新人達に「ここはまだお前達の死に場所じゃない」と告げ、先陣を切って趙峩龍の「隔砂陣」を抜きます。

身体を槍に刺し貫かれているのに、松左の勢いは衰えず、案外深い傷ではなかったのではと安心したところ、松左の足が止まります。

松左はロウソクの火が最後に大きく燃え上がるように、命を燃やし尽くしていたのです。

立ったまま信のほうを見つめ、死ぬときは少しでも信の近くでと願いつつ松左は倒れます。

『キングダム』593話 松左の死で飛信隊と趙峩龍隊の均衡が崩れる?展開予想

松左は死んでしまったのでしょうか。

信の近くに行きたいと願いつつ、全く足が止まり、目もうつろとなっているので、助かる見込みは低そうです。

松左が助からないとなり、戦線離脱してしまうと、河了貂が「トリアージ」として頼みにしていた人物を一人失ってしまうこととなります。

となると、あとは渕副長だけで飛信隊の脆い部分を補っていく必要があります。

渕副長は飛信隊の陣が間延びしすぎていて、松左との協力を頼みにしていましたが、その方法が使えなくなってしまいました。

渕副長だけでは中間の陣を守り切れないとなると、一気に飛信隊の形勢が悪くなってしまうでしょう。

その時、軍師である河了貂はどう動くのでしょうか。

河了貂は松左や渕が非情になりきれない性格であると分かっていたと思います。

だから何らかの対策を立ててくるでしょうが、そこまで渕がもつかどうか。

中間が完全にガラ空きになる前に、信や羌瘣《きょうかい》が趙峩龍本陣を破り、趙峩龍の首級をあげることができれば一番良いのですが。

難しそうですが、覚醒した飛信隊と練度・士気最高の羌瘣隊ならいっきにカタをつけることもできるかもしれません。

秦軍・中央軍の攻防はどうなる?

秦軍・右翼が趙峩龍を抜くことができれば、右翼の均衡はやぶれます。

尭雲《ぎょううん》も番陽《ばんよう》相手に優勢ですが、趙峩龍が破れれば、形勢は逆転します。

馬南慈《ばなんじ》も攻め一方というわけにはいかず、亜光軍を倒すことはできなくなりそうです。

こうして、秦軍・右翼が善戦していれば、秦の中央軍・王翦《おうせん》も心置きなく李牧《りぼく》と戦いに行けるでしょう。

李牧はここまで自分の思い通りの戦略できているため、飛信隊のねばりには意表を突かれるでしょう。そこへ鄴の食料庫焼失という報が入れば、動揺を隠すことはできないでしょう。

鄴の情報が届いたとき、朱海平原《しゅかいへいげん》の戦いの形勢はいっきに秦国有利となることは間違いありません。

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