進撃の巨人

進撃の巨人 114話「唯一の救い」考察 感想ジークと父・グリシャの確執 クサヴァーという理解者との出会い

『進撃の巨人』がついに完結しました。最終34巻の考察と34巻を無料で読む方法はこちらを見てください。

諫山創『進撃の巨人 第34巻』 (週刊少年マガジンコミックス) 表紙画像


こんにちは! 月に50冊以上マンガを読むコウテツユウギです。

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2019年2月9日(土)発売の『別冊少年マガジン 3月号』収録の諫山創『進撃の巨人』114話「唯一の救い」を読みました。

以下ネタバレありの考察と感想(レビュー)なので、未読の方はご注意ください。

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113話で、獣の巨人・ジークが策を講じたものの、あっさりとリヴァイ兵長に倒され捕獲されました。

ジークはリヴァイを甘く見すぎていましたね。死線をくぐってきた数ではリヴァイに軍配が上がり、かつての部下を倒すという非情な判断も容赦なく下します。

113話ではジークの思想の鍵となる人物・クサヴァーが現れました。

114話ではクサヴァーとジークの関わりと、なぜジークがこんな複雑でねじ曲がった思想になったのかが明らかになります。

父・グリシャと祖父の間で揺れ動く不安定な子ども・ジーク

ジークはリヴァイに拘束され、昔のことを思い出しています。

マーレ国内にある、エルディア人を隔離するゲットー「レベリオ収容区」では、ジーク達は容赦ない差別にさらされています。

人の良さそうなマリオみたいな掃除のオジサンにさえ、悪魔の末裔と言われて水をかけられる始末です。

ジークはそんな差別に負けないよう、ファルコやライナーのように「マーレの戦士」になれるよう日々軍事訓練をしています。

「マーレの戦士」となれば、巨人を継承でき、「名誉マーレ人」としての特典を享受できるようになります。

しかし、ジークの親・グリシャの思惑は子どもを名誉マーレ人にすることではなく、ジークを「戦士」とすることで、エルディア国の復権を目指すというものです。

ジークはそんな父母の思惑を悟っているのか、訓練に身が入りません。

それはそうですよね。親が野望のために自分を利用しようとしているのですから。子どもはそういうところには敏感です。

エルディア人を差別から救うために武力による革命を企てるグリシャですが、グリシャの父母は穏健派です。

ジークは実の父親と祖父の思想の違いによって板挟みとなり、ダブルバインドの状態となっています。

父が教える歴史・思想と祖父の教える歴史・思想が全く違うのですが、ジークは双方傷つけたくないので、どちらにも話を合わせてしまうのです。

子どもにとって、父母も祖父母も大切な存在です。それなのに異なる意見を持っていて、混乱しつつ合わせているジークは「頭の良い、聞き分けのよい子」という印象です。

このころの無邪気なジークから見ると、後の虐殺を繰り返し、ガビやファルコを騙す卑劣な大人というイメージは全く見られません。

子どもとして父に愛して欲しいジークだが、道具としてしか扱われない

今のガビ・ファルコくらいの年のジークは、ただ父に関心をもってもらいたくて、遊んでもらいたくて、父・グリシャに接近しようとします。

しかし、グリシャはとにかくジークをエルディア人復権の道具に仕立て上げたいだけで、自分の思想をたたき込むばかりです。

後に再婚し、生まれた子ども・エレンにはとても優しい父親という印象でしたが、全く違う印象です。

やはり長男と次男ということで、接し方が違うんでしょうか。

ジークを道具として仕立て上げようとして、裏切られてしまったので、その償いとしてエレンには正反対の育て方をしたのかもしれません。

漫画の中だけではなく、実際の社会でも、子どもを自分の道具やアクセサリーみたいにして厳しく育てると、ゆがみが出てしまいます。

前「獣の巨人」トム・クサヴァーとの出会いはキャッチボール

家では父と祖父の思想の違いに引き裂かれ、愛されない子どもとして育ったジーク。

当然こんな精神状況では軍事訓練にも身が入るわけがなく、落ちこぼれています。

そんなとき、出会ったのがトム・クサヴァーでした。

クサヴァーはこのとき「獣の巨人」所有者で、「巨人学」の研究者でした。

後にジークがクサヴァーを捕食して、獣の巨人を継承したわけですね。記憶も継承し、メガネは形見として受け取ったのでしょう。

クサヴァーは戦力にあまりならないので、ボールを壁に当てて遊んでいるような大人でした。

ジークに声をかけるキッカケとしてわざと兵舎でボール遊びをしていたのかもしれません。

ジークは実父・グリシャとボール遊びをしたことなかったので、初めて大人と遊んでもらえて、ひどくうれしそうなのが印象的です。

ジーク、公開訓練で落伍 父・グリシャに見捨てられる

ジーク・イェーガーはどれだけ冷酷に接せられようと、父・グリシャに気に入ってもらいたくて、認めてもらいたくてマーレの戦士になるべく努力しています。

しかし、父母の目の前で落伍してしまい、父に見捨てられてしまいます。

母はジークをかばいますが、エルディア人復権のことしか頭にないグリシャはジークの気持ちなど微塵も考えません。

本当にエレンに接していた頃のグリシャとは正反対の性格ですね。エレンの母と結婚したことによって性格がここまで変わるもんでしょうか。

親に見放されたジークをやさしく励ますトム・クサヴァー。

ジークの前では「戦士になるのは馬鹿らしい、他の国を侵略するのはアホらしい」と正直に告げます。

これはジークも心の中で思っていたことでした。

クサヴァーは、ジークが初めて心を許せる大人であって、自分を対等に扱ってくれるやさいいオジサンです。

まったく遊んでくれないグリシャより、クサヴァーのほうが父らしいはたらきをしていますね。

ジークが実の父・グリシャと母を裏切った理由が明らかになる

実の父・グリシャに見捨てられながらも、クサヴァーという理解者をえて、平穏に生きていたジーク。

そんなジークに危機が迫ります。

父・グリシャのエルディア復権派の運動が、マーレ当局にバレてしまったのです。

政府当局にバレれば、父母だけではなく、ジークも祖父母も連帯責任として「楽園」つまりはパラディ島に送られ、無垢の巨人とされてしまいます。

ジークは唯一の理解者であるクサヴァーに相談すると、

父・グリシャを当局に告発すること

を提言されます。

そうすると、ジークと祖父母の命は助かるからです。

マーレでも旧社会主義国のように密告制度があったんですね。家族といえども気が許せないというのは辛いところです。

さすがに実の父母を告発することをためらうジークですが、

クサヴァーは、グリシャ達がジークにした仕打ちを数え上げて、

勝手に期待し 勝手に見放し ちっとも君のことを気にかけなかった 君を愛さなかった

と断言します。

ジークとクサヴァー:『進撃の巨人』114話「唯一の救い」より引用

【引用画像・出典】ジークとクサヴァー:『進撃の巨人』114話「唯一の救い」より引用

確かにグリシャのジークに対する対応は酷すぎます。でも、全く愛さなかったかというとそうとも言い切れず、、クサヴァーがジークの命だけでも守りたかった気持ちが伝わってきます。

クサヴァーの告白と研究成果とは?

クサヴァーの読み通り、父母を告発したジーク・イェーガーは「楽園」送りにされず、順調に育って青年になりました。

ジークは昔のようにクサヴァーとキャッチボールをしています。

ジークはかなりの豪腕の持ち主で、「獣の巨人」化したときの投擲攻撃は、このキャッチボールがよい訓練となっていたことがわかります。

クサヴァーはもうすぐ「獣の巨人」の任期を終え、死ぬこととなります。

死ぬまでにクサヴァーは研究成果をまとめていたようで、

「始祖の巨人」の力を行使すれば、記憶の改変だけではなく、身体の設計図(現代科学で言う遺伝子のようなもの?)を改変できる

ことが解明されました。

記憶の操作だけでも大変な能力ですが、遺伝子を即時に操ることができるというのはすごすぎます。

現代科学でいうところの、「遺伝子治療」がすぐにできるということで、チートすぎる能力です。

それを聞いたジークはなんと「始祖の巨人」の力を得て、「ユミルの民(エルディア人)」が子どもを作れなくするという野望を抱くようになってしまいます。

普通なら「遺伝子改変」能力を得ることができれば、もっと建設的なことを行おうと思いそうなものですが、ジークが幼少の頃から受けた差別と、父から受けた仕打ち、その結果起こった自らの裏切りで、こんな考えを持ってしまったのでしょう。

ジークが行おうとしていることは、ナチスが行った「民族浄化」という名のユダヤ人へのジェノサイドを、自ら自分の属する民族に行おうとしているようなものです。

ジークにとっては自らの短い人生の中で得た最良の回答がこういう悲しい狂気だったのです。

日本の現状を見ていると、日本人も子どもを産まなくなり、セルフ・ジェノサイドを行っているようなものなので、単なるフィクション・他人事ではないです。

クサヴァーはそんな悲しい狂気をはらんだ思想を持つジークに、自分がかつてエルディア人であることをかくして結婚していて、息子がいたことを告白します。

クサヴァーの妻は夫がエルディア人と知った後、息子と心中してしまうと言う悲劇を起こしてしまいました。

クサヴァーも、自分のせいで愛する妻子を失ったと思っていて、生まれてこなければ良かったという悲しみを抱える者で、ジークと似通った思想を持っていたのです。

クサヴァーは自分の死んだ息子の面影をジークに重ねていたというのもありますが、この「自分は生まれてこなければ良かった」という思想が2人を引き寄せたのでしょう。

ジークは育ての父という存在のクサヴァーが、自分と同じ思想を持っていることで確信を深め、「始祖奪還計画」を決意します。

このジークが言う「エルディアの安楽死」という思想、彼の生育環境を思えば、うなずけるところもあります。

でも、いくら収容区で差別的な環境を受けていても、日々の生活で些細な喜びを見つけ、ささやかな幸せを感じている人たちのことは全然考慮に入れられていません。

現実世界でもそうですが、「民族」で一括りにして最終的な解決を急ぐと碌な事はありません。

ジークがもしここで「始祖奪還計画」つまり「パラディ島襲撃計画」を決意しなければ、エレン達は壁の中で平穏に暮らしつづけられていた可能性が高いです。

ガビもファルコも、そしてライナーもここまで過酷な運命に巻き込まれた遠因はジークのこの決意と思うとやりきれないです。

リヴァイがジークを爆破し、2人とも吹っ飛ぶ

リヴァイ兵長はジークの回想なんて全然分からないし、もし言葉にして伝えたとしても理解できないでしょうから、ブチ切れます。

リヴァイはキレたあまり、ジークに刺した雷槍を爆発させてしまいます。

馬車もリヴァイ自身も吹っ飛んでしまっていますが、大丈夫なんでしょうか。

『進撃の巨人』115話 展開予想

115話「支え」の考察と感想(ネタバレ有レビュー)はこちらを見てください。

ジークの過去が明らかになり、実父・グリシャを裏切った経緯も分かりました。

ジークは自分の「エルディア人の民族としての安楽死」という名の「ジェノサイド(大量虐殺)」思想をエレンに伝えたのでしょう。

エレンはその思想に少なからず共鳴したからジークに従っているのでしょうか。

エレンの現在の行動を鑑みると、その可能性が高そうですが。

ただ、エレンはジークとは違い、実父・グリシャに十分愛されて育てられたように見えます。

グリシャもジークに裏切られたことにより、次男に対する教育には十分注意したことでしょう。

そんなエレンが、長年暮らした父よりも、いきなり現れた兄・ジークをいきなり盲信するものでしょうか。

エレンは「始祖の巨人」の記憶に加えて、「戦鎚の巨人」の記憶も継承しているので、ジークが知らない事実を知っている可能性が高く、エレンにはエレンの独自の考えがあるように思います。

エレンやジークの思惑はともかく、「新生エルディア帝国」の運動は高まりを見せています。

マーレ側も動きを活発化させています。

ライナー達はガビとファルコを救うために、パラディ島に潜入し、ピークはすでに壁内に潜んでいます。

ジークは自ら裏切ったライナーやピークに再び出会ったとして、平静でいられるのでしょうか。

ガビやファルコの苦しんでいる姿を見て、動揺せずにいられるのでしょうか。

ジークの理念の中では「エルディア人はすべからく生まれるべきではなかった」と思っていますが、ライナーもガビもそうは思っていないはずです。

『進撃の巨人』はすでに最終回のプロットまで作成されているとされています。

諫山創先生は民族問題を盛り込む等、ここまで複雑化した物語をどう収束させるのか、不安を感じつつも期待しながら毎月9日を待っています。

『進撃の巨人』27巻の考察と感想(ネタバレ有レビュー)はこちらを見てください。


『進撃の巨人』がついに完結しました。最終34巻の考察と34巻を無料で読む方法はこちらを見てください。

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